伊勢志摩国立公園はおおよそ二つのエリアに分かれます。 一つは伊勢神宮とその背後に広がる自然豊かな森林環境と、もう一つは複雑な地形、地質及び小さな入り江と岬が点在するリアス海岸に代表される海沿いです。 昔から人々はこの地で暮らしを築き歴史、文化、風習など特有のものを美しい自然と共に作ってきました。
森林の肥えた土壌は雨水によってミネラル豊富な水を生みだし、水は川となり海に注がれます、そしてそれらの大地は穀物、野菜、果物の生育をも支えています。

伊勢湾口部から志摩半島沿岸には日光が届く水深20m~30mの浅い海が広がり、山と海からの栄養に恵まれた豊かな海藻場があります。 そこには数多くの海藻類とプランクトン、小魚、海洋小型生物が生活をし、それを取り巻くように豊富な魚介類が生息しています。 中でも万葉集に出てくる志摩国は昔から『御食(みけ)つ国』として名を馳せた地域です。 『御食(みけ)つ国』とは山海の幸を伊勢神宮、皇族、朝廷に供える地のことで志摩国では豊かな海と海女さんがそれを支えています。